「お盆の間は海に近づいてはだめ!」というのを聞いたことはありますか?
お盆は一般的に8月13日〜16日の期間のことを表します。そして、この期間中はご先祖様や亡くなった方をお迎えして、供養をする期間とされています。
この期間はなるべく外出せずに家で静かに過ごしたほうが良いと言われています。
特にお盆の期間中には海や川に近づかないほうが良いということが、昔から言い伝えられています。
なぜこのような言い伝えがあるのでしょう?お盆に関する言い伝えと、その本当の理由について紐解いていきましょう。
お盆中の海はだめって本当?
お盆に海に入ってはいけない理由というのはいくつかあります。
最も有名なのは『お盆に海に入ると亡霊に足を引っ張られてあの世に連れて行かれる』というものです。
なんだか想像すると恐ろしいですね。
これはお盆の時期には『閻魔の斎日(えんまのさいじつ)』と言う言い伝えが関係しています。
お盆の時期は『閻魔様や鬼たちがお休みする期間』なので『地獄の釜の蓋』が開いて、亡霊たちが彷徨い始めるというお話です。
海でなくなった方がこの期間に里帰りをするのですが、その方たちが再び海を泳いであの世に帰る際に、海にいる生きた人間をあの世に連れて行くと言われています。
だから、この期間に海に行くと亡霊にあの世に連れて行かれてしまうという話になっているのです。
お盆に海では足を引っ張られるって本当?
閻魔の斎日に亡霊に足を引っ張られるという恐ろしい話は本当なんでしょうか?
実際は『自然の力』が影響をしているようです。どんなものがあるのか見てみましょう。
土用波
『夏の土用』の時期に発生する大波のことを『土用波』と言います。これは遠い海で発生した『台風』の影響でうねりを伴った大波が発生するのです。
そして、その波が海水浴場に突然高波として入ってきてしまいます。
お盆の時期は台風が多くなってくるので、土用波が発生しやすくなります。
さらに離岸流という現象によって海岸から沖に向かって引っ張るような力が発生します。
そうすると膝くらいの波の高さでも体が引っ張られてしまうのです。
これらの波によって引っ張られることが『足を亡霊に引っ張られる』ことの正体なのです。
大潮
海には『満潮と干潮』というものがあります。潮の満ち干きのことですね。
月と地球との引力が原因で起こるとされていますが、新月と満月の前後数日間は潮の満ち干きの差が大きくなります。
これを大潮と呼ぶのですが、お盆の15日ごろはこの大潮の影響で海が荒れるため事故が多くなります。
クラゲ
皆さんご存知の『クラゲ』は1年中海にいます。しかしお盆の時期になるとクラゲが生育するのに好条件となるため、大量発生します。
お盆前には毒針のない安全な幼体だったのが、成長して毒針を持つようになります。
そして、クラゲに刺されると痛みやショックで心臓麻痺や痙攣などで溺れたり死に至ることもあります。特に子供は注意しなければなりません。
私もお盆の時期に海でシュノーケリングをしていたら、目の前に大量のクラゲがいて怖かったのを覚えています。幸い刺されなくて何事もなかったですが、刺されたらどうなっていたかと思うと怖いですね。
お盆に海はだめなのは迷信で過ぎたらOK?
科学的な根拠はわからなかったとしても、昔から自然の変化に人は敏感であったことでしょう。そして、その自然の力によってたくさんの方が被害にあってきました。
なので、子どもたちがお盆の時期に海に近づかないようにするために『亡霊に足を引っ張られる』などの迷信を作ってきたのでしょう。
実際は亡霊に足を引っ張られるなんてことはありませんので、自然の驚異をよく理解した上で、海に行くことは可能です。
しかし危険が伴うのは事実なので十分気をつける必要があります。
そして、お盆が終われば海に入ってもよいか?に関しても、お盆が過ぎてもクラゲもたくさんいますし、台風も次々とやってきます。
なので、できれば海に近づかないようにしたほうが良いと私は思います。
もしどうしても海に行かなければならないときは、天気予報などをチェックして十分注意する必要があります。
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